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制作者勉強会「東京地域の小劇場演劇の状況について」レポート

FPAPでは、去年の5月より制作者の情報交換や交流の場として制作者勉強会を開催しております。
このたび講師に「庭劇団ペニノ」の制作者・野平久志さん(PUZZ WORKS代表)をお迎えして、制作者勉強会「東京地域の小劇場演劇の状況について」を開催いたしました。

■開催日:2006年12月16日(土曜日)
■講師:野平久志さん(「庭劇団ペニノ」制作、PUZZ WORKS代表)
■司会:北村功治さん(飛ぶ劇場、北中)

★講師紹介
庭劇団ペニノは昨今、東京の小劇場演劇の中で注目されはじめ、今後の飛躍が期待されています。また昼ギャザをはじめとする新たな制作手法でも注目を集めています。
自らが代表を務めるPUZZ WORKSでは、笹部博司のプロデューサー塾の主催するなど、制作者育成の事業にも携わられています。
岸田戯曲賞を受賞した三浦大輔率いる劇団「ポツドール」では、役者・制作として活躍し、日本インターネット演劇優秀男優/パフォーマーとして選ばれた経歴があります。


 

まずは参加者全員の簡単な自己紹介を終え、さっそく野平さんから東京の小劇場事情についてのお話がスタート。



「劇団が2000団体あると言われている東京では、劇場の稼働率が90%を超えており、とにかく劇場を押さえるのが大変。常に2公演先のことを考えて、劇場選びの戦略を立てていかなければいけない。劇場を押さえること、やる場所を確保することが制作の重要な仕事。」
「公民館を稽古場として使うことが多いが、この“稽古場の確保”というがこれまた大変。最近になって廃校を練習場として開放するなどの動きも出始めたが、稽古場を使いたい人が多すぎて、場所が足りない。」

この日、勉強会の前にぽんプラザやゆめアール、市民会館練習室を見学された野平さん。
劇場や練習場の環境について言えば、福岡の方が恵まれている!うらやましい!と何度もおっしゃっていました。



ポツドール時代の稽古では。
「“公民館登録”を物凄い数して稽古。演劇の練習を前提としていなかった場所で稽古したときは、騒音に警察が来た事も…」

庭劇団ペニノ(現在)の公演では。
「マンションの一室(2LDK)を大家に内緒で改造。壁をぶち破って大黒柱までとって、ひな壇作って公演…」 など。

どうやって話題づくりをするか。
「東京の劇団は最初のうちは口コミ(ネット批評サイトの書き込みなど)に頼るところが大きい。口コミを増やすためには口コミ用の環境が整備されていなくてはならず、福岡でもそういった動きは必要。観る側でそういう環境が作られていかないようであれば、自分たちで環境を作ってでも用意すべき。1つの小さなメディアを作る事が重要。」など。

また、現在所属している庭劇団ペニノが常に「他の劇団がやっていないこと」「オンリーワンのもの」を目指してやっていることなど、熱く語られました。



「実は東京の小劇場にはちゃんと演技ができる役者、基礎をきちんと学んでいる人が少ないのでは。」

「タレントが舞台に起用されることも増えているが、タレントは何だかんだ言ってちゃんとトレーニングを受けているので、小劇場の役者がタレントに負けてしまうということが結構ある…」

「地域の方が役者がきちんとトレーニングしている。劇場や行政などがワークショップをやったり、役者がトレーニングする機会、人材を育てる場が東京より地域の方が整っていると感じる。」

という話もありました。



ほかにも、事務所をかまえることについての話(ちなみに「事務所の住所は、マスコミ受けを考えるとやっぱり世田谷区とか渋谷区とかがいいなぁ。」だそうです。)や庭劇団ペニノのオーディションの話(ちなみに「○○が○○な人は書類審査で落とします。」だそうです。)など、ここには書けないこと(!?)も含めていろんな話が飛び出しました。

最後に、「福岡での公演の予定は?」との参加者からの質問に、「実は今日福岡の公園を視察してきました。いい場所がたくさんありますね。近い将来、福岡で公演したいです。」とほくそ笑む野平氏。楽しみです。



メジャーな劇団の情報が先行して入ってくるので、東京の方が環境が整っている印象がありますが、実は必ずしもそうではなく、逆に地域の方が恵まれていることもあるのだということ。そして、戦っていることはどこでも一緒なんだなと、心強い同志に出会ったような勉強会でした。

短い告知期間だったにもかかわらず、市外・県外からも多数ご参加いただき、ありがとうございました!

 
 
 


 
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