初心者を対象にした演劇の台本(戯曲)を書くための講座です。今回はお題として一枚の
写真を選んでもらって、そこから思いつく3分程度の場面を実際に書くことを目標にします。 2日間の連続講座です。

「一枚の写真からはじめてみる」 初心者のための 戯曲ワークショップ  レポート


<1日目>

一枚の写真からはじめてみる 初心者のための戯曲ワークショップは、参加者の自己紹介からはじまりました。
参加者の皆さんに各戯曲の経験、演劇歴、この戯曲に参加した理由などをお話してもらいました。

ワンシーンに絞って書いてみる  既成の戯曲を見ながら、戯曲の構造をみてみよう

参考の戯曲を読みながら、戯曲がどのように組み立てられているかの基礎的なことの解説。
参加者に一人ずつ役が割り振られて、声に出して読んでみました。

「戯曲の書き方もさまざま。今日明日でわたしがお話する方法や価値観が演劇の絶対ではありません。
現代演劇は常に新しいものを模索しながら進んでいます。
納得できる部分は持ってかえってもらって、皆さんの考えるものと織り交ぜながら
今後の活動で面白いものにしてもらったらいいなぁと思います。
読み手の想像力とのかけひきが面白いですね。情報の出し方、字面をもってみるということ、実際に舞台になったときにお客さんにどう見せるか、お客さんが、これはいつであるか、誰であるか、ということをどう伝えるかを書き手としては理解しないといけない。」
と、田辺さんからお話しがありました。

                                     

1枚の写真から舞台情景、登場人物などを想像してみよう。

1枚の写真から想像できる情景を参加者それぞれが出し合い、ストーリーをまとめていきます。
参加者の皆さんに出してもらったアイディアをもとに、プロジェクターを使って、講師の田辺さんが、実際に台詞にし戯曲として書き出していく作業過程を見せていただきました。
劇作家の仕事場を覗いているようでした。

                                 


課題 
4枚の写真のうちから1枚を選び、そこから5分程度の戯曲を書いてみる、という課題がでました。
参加者に、今の段階でどの写真を選んだか、選んだ理由などをざっくばらんにお話ししてもらい、ワークショップ1日目を終了しました。

                                 



<2日目>- - - - - - - - - - - - -

課題の発表 

課題としてでていた5分程度の戯曲を、参加者全員分プリントアウトし、お互いに他者の作品を読みます。
一人ひとりの作品を他者に声に出して読んでもらい、感想や意見を交わしました。
自分だけでは気がつかない視点やとらえ方があり、参加者それぞれ刺激を受けたようでした。

田辺さんも、1日目に途中まで書いた戯曲を5分程度の戯曲として書き上げてきてくださいました。
1日目に書き進めていたものよりも、戯曲としてまとめていく作業の中で、台詞の魅力や効果を高めるために、
削った台詞や一部設定を変更したことなどのお話も交えながら、皆で読み合いました。


                                

全員の作品を一巡したのち、希望者3名の戯曲をピックアップし、それらの作品を中心に
「書き進めるために」必要な要素やテクニックを田辺さんに解説してもらいました。
5分で作ったものを、30分、1時間の芝居にするためにはどうすればいいかということを
登場人物の関係性や情景を図解にし、再び全員で感想や意見、アイディアを出し合いました。
図解化したことによって、作品をさらに深めるためにどういう展開が可能か、登場人物の関係性を確認していく作業としても分かりやすく、
参加者全員で共有しながら意見を交わすことができました。

最後に、今回ワークショップに参加して戯曲を書いてみての感想を、一人ひとりお話してもらいました。
初めて書いたという方も多く、自分が書いたものを他人に声を出して読んでもらったり、感想や意見をもらったということが新鮮だったという感想が目立ちました。
また、講師である田辺さんの戯曲を書く作業過程を見ることができたことも刺激になったという感想も上げられていました。
今回のワークショップでは、戯曲の基礎的なところから、参加者と意見を交わしながら戯曲を楽しんで書いてみるということが共有できたと思います。

主催・協力・後援

主催:NPO法人FPAP
協力:九州地域演劇協議会
後援:(財)福岡市文化芸術振興財団助成、福岡市、福岡市教育委員会