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リホスタ 取材
火曜劇場出演団体の公演に向けた動きをFPAPサポートスタッフまるやまが追います!!

寒〜いある日。けやき通りのお蕎麦屋さんの2階にある「R&Sバレエアティテュード」のスタジオにお伺いしました。ドアを開けると、「あつい!」エアコンも効いていたのですが、それ以上に熱の入ったリハーサルの現場が!

椅子を使っていろいろと動いている。大内田さんが指示する動きに、「だめ〜覚えられなーい!」田中さんギブアップ。「じゃああとは練習だね」

動きを説明する用語がなんだか不思議である。
「昔テレビであった『本物は誰だ!』みたいな感じ?」
「使用上の注意、よく見せといて、それからラウンドガ〜ル!」「ライク・ア・ローリング・ボールの次のところは〜」
言葉だけ聞いていたら、なんだそりゃ?

「はい、次は○○で〜す」
○○? え、それ、ダンスですか?
一度通して踊られる。なるほど…○○だ。
「アラベスク〜アラベスク〜で、そこはパッセね」
時折バレエ用語らしきものがさしはさまれる。○○とバレエの素敵な出会い(はーと)

リハーサル後にお話を伺いました。

<今回出演の3人について>
大内田:私と田中の二人でこのスタジオをやっています。一応、ここのスタジオが生活の基盤になっていて、ダンスだけの生活です。(能美)陽子ちゃんは、まあ生徒さんなんですけど、バレエ以外のことをやるっていってもちゃんとついてきてくれて・・・。
右から大内田早穂さん、能美陽子さん、田中理恵さん

<今回バレエとは別にこういったコンテンポラリーダンスの公演をしようと思われたのはなぜですか>
大内田:好きなことをするためにバレエをやっているようなところもありますし、バレエもすごく大事なんですけど、基本的にバレエというのは西洋のもので、バレエで成功できるのは限られた人間だけというところがちょっとあるんですよね。もちろん成功するためだけにやっているわけではないのですが。ただ、メソッドやテクニックが、踊りとして表現したり体をトレーニングするのに優れているものなので、バレエはずっと続けていくと思います。古典バレエもしますし。それとは別に、自分らしい踊りがあって、バレエというシステムの中で表現するのとは少し違って、まったく自分の体で、自分の持ってるもので、自分の好きな踊りをする、自分の好きな世界を作ることが基本的にやりたいんです。

<バレエって型のようなものがあるんですか?>
大内田:人間の体がきれいに見えるようなポジションとか、そういったものがびっちり決まってます、というか、そうなればきれいだというのが物理的・数字的に理にかなってるんです。
バレエには意味もなくそのポーズを取るということはないんです。
こういう動きはバレエではありえない
でも、「踊り」というのはそれだけじゃなくて、急にちょっと触れられたり、ちょっとした動きをすることがすごくダンスに見えたりするんです。ダンスって言うより、意味が見えてくるから、ちょっと世界が変わるでしょう。そういったものが世の中にはいっぱいあって、それをつなげていって、タイミングとか間を変えたりしていくと、ダンス的なものが見える。ダンスだけじゃなく違う世界が見えたりするから、それがやりたいだけなんです。

<自分の思っていることや感じたことを体を使って表現したいということですか>
大内田:そうですね。この場で何か変わればいいんです。自分の体を使うこともあるし。私たちは体を使うトレーニングをしてるから、しゃべったり言葉が使えるわけでもないし、歌ったりもできない。そうではなく動作やタイミング、それを音楽に載せたり、音楽を作ったりして何かを変えることにダンスの意味があるのかなと。
ただ楽しい、自分だけが楽しいのではなくてね。まあある意味パフォーマンスはすごく意識して作っているところもあります。特にコンテンポラリーって自意識が高くなって、自分側に入りやすい。それはすごく大事なことなんだけど、そんなに立派なものじゃないから・・・。だからとりあえずはあるものでお客さんとコンタクトの取れるものが作りたい。お芸術作品が作りたいわけではない。私はそこにはあまり興味がないです。

<テーマ、のようなものはあるのですか?>
大内田:テーマは本番前に決まると思うんですけどね(笑)私、最近テーマはあまり考えないので。(チラシを見て)これにいろいろ書いてあるので、なんだかそれで決まっているみたいですけど、一番この中で重要な点は『スペクタクル』(見世物)ですね。それがすごく重要!私はいつもバレエをやるにしろダンスをやるにしろ、そこはすごく意識してます。
どんな方法をとるかはわからないけど、とりあえず、年越しなので・・・たまたまね、そういっとけば辻褄も合うし(笑)・・・ちょっと忘年会みたいになればいいかなと。ほんとに今回の火曜劇場の最後を飾るわけだし、来てくれた人と一緒に忘年会ができればいいのではと思っています。

<振り付けはすべて大内田さんが考えるんですか>
大内田:基本的には私が考えます。本来は一から振りで全部私が決めるんですよ。でも今回は2〜3個テーマというかお題を出して、出した振りをピックアップして、発展させていきます。今回初めてそういうのもしてみました。
リハーサルでは、無駄に何回もああしてこうしてって言ってるからこの人たち(田中さんと能美さん)は大変な目にあってるんだけど、私は一人で楽しんでるから。

<大体言われたとおりに動かなければいけないんですか?>
田中:そう。動いてみて、って言うから・・・。本気でやらないとどうなるかわからないし、意味はわかんないけど、とりあえず。
 こんな動きもさせられる。「く・くるしい〜」「当日は何も食べとかんほうがいいよ」
大内田:私が言って、どう感じてどう動くか、また違うものが見えるじゃないですか。私がこう思っても、こういう風に感じてこう動くんだっている発見もあるし、反対にそうじゃなくて勘違いしてるなと思うことがあればこうして、って言ったりするんですけど。だいたい付き合いは長いからどのくらい動けてどうっているのは大体わかるんですけど、こういうのはバレエじゃないから・・・。バレエだったらこの人はどのくらい動けるというのはわかるわけですよ。だけど、こういった特殊なやつになると、もしかしたら正座ひとつするのにも手間取ったりという可能性も出てくるから。練習すればできるものなのか、そうじゃなく入れないものなのかを見て、そこでまた選んでいったり、普通じゃなくて、勘違いから面白い動きがあるときもあるからそっちにしたりします。でもとりあえず、動いてもらう・・・人が動かないとわかんないじゃないですか。

田中:とりあえずそれが見たいんだろうなーと思って、言われた通りやります。やってるほうは意味がわかんない。
大内田:自分も何がやりたいんだかよくわかんない。やってみて「あーこれがやりたかったのか」とわかる・・・。
私は言ってるばっかりだから、基本的にはこの人たちが一番動いてるんだけど、気持ちの上では私も動いてるの。気持ちは踊ってる。

<動きはどうやって思いつくんですか?>
大内田:音を聞いて動きを思いつくときもあるし、映像から思いつくときもあります。
今日のはリハーサルの前にちょっと思いついたから。いっつもそうなんですよ。そんな構想何年とかないんで。あんまり構想を練ったからって、いいもん出たこともないんで。
田中:でも、構想何年ってことはないけど、逆にいつも考えてるよね。前にちょっとやりたかったの、とか。
大内田:まあね。いつも考えてるよね。ああ、これならできるとか、ここならできるとか。
たとえば今日ずっと音聞いてて、らいでんらいでんらいでんってのが聞こえてきたから、ここは座るのかなとか、座るためにどうしたらいいかなとか。そこでごちゃごちゃやって、足していったりとか。そういうのがすきなんです。基本的に。
頭の中で「らいでんらいでん・・・」と唱えている(たぶん)田中さん

<今日見ていて思いましたが、わりとわかりやすいですよね>
大内田:べたですよ。私はべたでもぜんぜん平気だし、ダサくてもぜんぜん平気。そんなに立派な高尚なことはあまり考えないようにしてます。
今回もたまたまコンテンポラリーダンスって枠だったからそういってますけど、ダンスって、みんないつも見に行ってワカランって言うでしょ。ダンスをやっている人間から見れば何をやりたいのかはわかりますし、すごくそれが好きな人から見れば楽しいかもしれないけど、初めてみるお客さんにとってはちょっともうカンベンってことけっこう多いんですよね。なんか取り残されるような。あの人はすごいらしいんだけど、私には理解できないわ、私ってインテリジェンスがないんだわって思って、とぼとぼと帰路につくような。ダンスってそういうところがあるでしょ。私にはそんなに思い入れはないです。私は・・・これでいいよって・・・
ただ、べたでやるかとかくだらないことをいかに徹底してやって、きちんと伝えるためにタイミングを合わせたり、自分でシュミレーションしたり、どこでやるのか考えたりするのはこっち側(創り手)がやる仕事であって、それはちゃんとやらなきゃと思ってます。なんとなくやったらただの宴会芸になっちゃうでしょ。

<意図するものをきちんと伝えるためにはそれなりの技術が必要だということですよね>
大内田:人に見せるからには自分の体をきちんと作って、自分のやりたいことをきちんと表に出せるようにするのは当然だと私は思っています。これは、テクニックがなければ、とかいう意味ではありません。人の体や、やりたいことは千差万別なので、「きちんとつくる」結果は同じである必要ではないし、それぞれの条件の中で自分に必要なことを常に意識をしてくことが大事なんです。

<最後に見に来る人にアピールを>
能美:うーん…なんか、前にもあったんですけど…(ぽつりと)"Don't think, feel"。「考えるな、感じろ」。
(一同爆笑)
田中:・・・ことごとくふられてるんですよ・・・年末だからって、みんな見に来てくれそうにない。うーん・・・見ないと損だ!って、最近は思ってるんですけどねぇ。
(さらに爆笑)
大内田:この不思議な空間を体験して!ってね。

<12月27日ですよね>
大内田:帰省する前に来〜い!(笑)

(インタビュアーのつぶやき)
平井堅のベストアルバムは『歌バカ』というらしい。もちろん、リホスタの『だんすバカ一代』というタイトルのほうが先です。ここで言う"バカ"とは「アタマがよろしくない」という意味ではなく、「それが好きで好きで大好きで、気合入れてそれに全人生かけてます」という意味である。"バカ"いいじゃない!最近世の中には"バカ"が減っているような気がする。ちょっと"バカ"が足りないような気がする。
ああ、
アメニモマケズ カゼニモマケズ
ミンナニデクノボートヨバレ 
ホメラレモセズ クニモサレズ 
サフイフ"バカ"ニワタシハナリタイ!

リホスタの「だんすバカ一代」は、みなさんを「"コンテンポラリー"がわかんない私って、やっぱりバカなのね」という気分にさせることはきっとありません。
火曜劇場の、そして2005年の最後を飾るこの公演。是非一緒に劇場で忘年会をいたしましょう。

(文責・FPAPサポートスタッフまるやま)