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3回目の内容(最終回)

最終回/成果発表、合評会

最終回の今回は、前回テキスト化してきたものを成果発表という形式で、
発表会をおこないました。

成果発表では、受講者それぞれがテキストにおこしたものを一連に発表することで、
福岡の街の一部を浮かび上がらせようとするものでした。

発表形式は自由。

レポート形式に発表する方、
見てきた風景や街を行き交う人々の描写を一人芝居のように発表する方、
テキストを朗読して録音したものと中洲の風景を録画したものを流す方、
他の受講者に協力をえてテキストを再現する方、
などなどテキスト自体も様々ですが、発表形式も様々で見応えのあるものになっていました。

成果発表は当日の15時開始とし、
それまでの時間は発表準備として各自発表のための台詞覚えに使ったり、
他の受講者の発表を手伝う人はそれぞれ動きの確認や打ち合わせなどをして
成果発表の時間に備えていました。

だいだい的には広報していませんが、ワークショップ関係者だけでないオープンな場にしようということで、
当日ツイッターでも呼びかけ。

時間少し前にツイッターを見て参加者もいらっしゃいました。

時間通りに発表会を開始です。

まず、発表の導入として福岡市内、中洲周辺の地図をプロジェクターで映し、
受講者がどのあたりを歩き、取材したかなどについて説明です。

発表順通りに次々と進みます。

発表後は、講師と受講者で円になり、成果発表の合評会と戯曲ワークショップの総まとめをおこないました。

<<合評会>>

合評会では、松田さんと受講者全員で成果発表について感想等の意見交換をしました。

受講者:皆いった場所が違うけど、福岡の人じゃない人の発表が新鮮でおもしろかったです。すごく、切り取られた感じがしました。街が、いずれなくなっていくんだってのを、すごく感じました。

松田:次に自分が同じ場所に行っても、同じように感じるかわからないことを感じたってことですね。人生っていうのは、自分が見ているものしか見ていないからね。変な話だけど、日々「見ている」じゃないですか。
見た風景、見た光景、たくさんのものを見たりとか、誰かと出会ったりとか、櫛田神社で一人の女性を見たとか、そういう風景を「見ている」私は他にいない、っていうことだよね。私はこの街をこういうふうにしか切り取れなかったってことがよくわかったと思います。

一旦知覚したものをまた再現するってすごく面白かったと思うんだけど、その印象を再現する面白さってあったんじゃないかな?って思いました。
で、その再現の仕方がそれぞれ違うよね。報告型というかさ。でも、報告型の中にもアドリブ的に話す人もいれば、台詞にしちゃう人もいた。

その他の受講者からも成果発表含め、ワークショップの感想を順番に聞いていきました。

●これまで他の戯曲講座は受けたことあったんですけど、今回は蓋をあけたら演じなきゃいけなかったり、演出みたいなのもあっておもしろかったです。

一つひとつの作品に対して、その人自身が浮かび上がってくるんだなって思ったり、私はこういう風に書かないだろうなって思ったりしました。私が同じ景色を見ていても他の言葉が出てくるだろうなって。それぞれの体調とか、その人自身が浮かび上がってくるのがおもしろかったです。
またこの同じメンバーで書こうとしても同じ作品にはならなかったんじゃないかなぁと思っておもしろかったです。

読むことを意識して書くのでちがうなと思いました。発表どんな形でもOKってことだったけど人が読むことを前提にしていること、その形式にこだわってしまうんだなぁって思いました。そこがどうしても、何というか、難しいなと思いました。

松田:結局、報告者を偽装するってことだよ。

と松田さんが答えていました。

今まで私は自分の書いたものを上演したことがなくて、戯曲講座を受けるばかりだったんですけど、成果発表で上演したことは初めてだったので、一回やってみようかってなったときに、すごく戯曲が長すぎると思ったり、文章を読んで笑えることと、自分が演じたことでお客さんにうけたわけじゃないことだったりあって難しいなと思いました。
上演を目的として戯曲を書くという意識を持つことが大事だって気づけてよかったです。
自分で題材をみつけて、書くのが新鮮でした。

私は、自分自身をすごく意識する人間なんだなぁってことがわかったり。とてもおもしろかったです。

松田:理解って問題は危ういところがあり、たとえば僕が「白い犬を見たんです」って言えば、皆さんわかるよね?
けど、僕がみた「白い犬」じゃないよね。けど、僕が見た白い犬を、皆さんが見ちゃうことの方が怖いよね。
それを正確に伝えようとすると、皆さんもそれぞれ「白い犬」をより描写していくと思うけど。
理解って怖いよね。わかりやすい演劇、皆が「白い犬」って思ってしまうような。「白い犬」っていうだけの理解ではなくする方法を編み出してほしいな。
けど、その人がみたものの表象って不可能なんだよね、ましてや、「白い犬」って言って通じるのは日本人だけなんだよね。

質問も出ていました。

受講者:欲張りなのかと思いましたが理解してもらいたいっていうか、作品のここみて欲しいなとかありますよね。

受講者:表現をする人って、理解して欲しくて作品を作るけど・・・

松田:そうだよねぇ。表現をしている人たちは、理解を求めているってことはないと思うけどね。
演劇をやるからには、戦わないといけないからね。わかってもらわなくてもやってるってのは負けちゃうから、僕はがんばりたいけど。
「理解と了解」って言葉にキーワードがあるかなって思うけどね。

受講者:難解な作品を書くには、色々なことを考えると言うか、テクニックというかあるんですか?

松田:難解とか、レベルとか、尺度はないって考えた方がいいと思うよ。そこよりも、もっと豊かなイメージが生まれてくるかな。

 

全部で3回(日数にして5日間)のワークショップは、これで終了です。

3回目内容(最終回)
<最終回>
(2012/02/18 13:00-17:30)
 ・参加者より課題プレゼン
 (一人15分〜20分)
 ・合評会、講師講評
 ・質疑応答


































主催・協力

主催:NPO法人FPAP
協力:九州地域演劇協議会

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