関連企画

パネルトーク1 福岡の歴史を繋ぐ ~私の好きな劇場~

演劇祭関連企画第1弾! 現在を軸とした追憶のパネルトーク
福岡の劇場をキーワードに、過去40年を振り返るパネルトークです。
福岡で演劇活動を行っている演劇関係者をパネリストとして迎え、思い入れのある劇場について語り合いました。
当日のトークの内容を公開しています。

6月19日
17:00 ~ 20:30
第1部:劇団設立10年以内・前後の世代によるパネルトーク
>>議事録
第2部:劇団設立10年以上の世代によるパネルトーク
>>議事録
第3部:劇団設立20年以上の世代によるパネルトーク
>>議事録
6月20日
17:00 ~ 19:00
福岡の歴史をつなぐパネルトーク
>>議事録

概要レポート

6月19日 17:00 ~ 20:30 | 世代別パネルトーク
第1部:劇団設立10年以内・前後の世代によるパネルトーク

時間帯
17:00 ~ 18:00
パネリスト
榎本史郎 (劇団えのき岳遊劇隊)、太田美穂 (ミクロドロップ)、小林ゆう (演劇銭団Do-リンク場)
司会
三坂恵美 (NPO法人FPAP)
パネリストのみなさんに、劇団の旗揚げ公演で利用した劇場について話をうかがうところからスタートしました。

榎本さんはシアターポケットで旗揚げ公演をおこなったそうです。タレントやお笑いをしたいという団体だったので、まずいろんな方に話をきいて勉強しなければ、ということで劇団翠平船の公演に参加してみた、とのこと。そこで、「まずここでやりなさい」と聞いてシアターポケットを利用したそうです。

当時はまだぽんプラザホールがなく、「今だったら『ぽんプラザホールでやりなさい』と言われるだろうね。」という話が出ました。

シアターポケットは現在はない劇場ですが、当時は福岡のいろいろな劇団に利用されていました。清川の細道に入ったところにあるアパートのような建物の一室で、 1・2階が劇場と楽屋、上の階は住居として使われていました。

太田さんはぽんプラザホール、小林さんはエスペランサホールで、旗揚げ公演をおこなったとのこと。

三坂:小林さんは、シアターポケット行ったことありますか?

小林:ないですね。

三坂:おお~、そっか・・・・・・。

榎本:でも、取り壊す前ぎりぎりまでやってましたよね。急にあそこ空き地になっててびっくりしたんですよ

三坂:そうなんです。清川の柳橋連合市場の近く、アパホテルのところからちょっとはいった路地の通り沿いにあって・・・・・・。なんでしょうね、ちょっといかがわしい雰囲気のする通りというか。

太田:ラブホテルがあったりするふるめかしい・・・・・・。

三坂:大好きな立地です。

太田:ピンクサロンみたいなのとかもあって。

榎本:劇場に行く前にちょっと細い道があって、手前に別の家があったんですよね。

三坂:シアターポケット自体もアパートみたいなのの中の1室で、2階の楽屋は普通の家みたいな感じで。たしか3・4階は人が住んでましたよね。

太田:そうですね。3階は人が住んでて、2階に泊まりで、みんなで雑魚寝をするんですよね。で、1階では私が泣きながらこう・・・・・・徹夜して照明をなんかこう・・・・・・

榎本:そんな思い出が。

太田:そう、ちょっと苦い思い出が。

榎本:それ、うちじゃないですよね(笑)。

太田:そう。その前に。

榎本:なんかこう、誤解をまねくといけないから。


三坂:照明バトンといって、照明を吊る棒があるんですけど、ぽんプラザホールの舞台側の照明バトンは電動で降りてきます。シアターポケットは舞台上のバトンがあるところに脚立でのぼったりして、照明の機材を吊り下げるので、腕がいたくなるんですよね。

榎本:あれ、でもなんかどっかのお芝居やってるときに落ちたことがあるんですよね。

太田:バトンが?

榎本:バトンが落ちたって話は聞いたことありますけど。照明の吊りすぎで。

太田:あ~、吊りすぎて。

榎本:そんなこともあるくらい、自分たちでいろんなことができる場所だったっていう。

三坂:そうですね。

太田:なんかですね、バトンが降りてくるっていうのが、私は最初びっくりしたんですよね。
今まで、自分がスタッフとして経験したところでは、夢工房さんで照明のお手伝いをしたんですが、バトンじゃなくて「木(モク)通し」っていうのをやったんですよ。木を通して、木に照明を吊るという。
脚立を持ち込んだりして、パイプの上に木を通して、そこに・・・・・・。で、その次にシアターポケットで、その次に今泉会館という、ただの畳部屋の。

榎本:お寺じゃないんですか?

太田:お寺ではなかったと思います。スペースがあって、25畳の畳敷きの部屋で、パイプをつなげて照明機材を吊ったんで、バトンが降りる、というのがまず感動したんですよね。あと、ぽんプラザホールはウィーンガチャンって客席がでてくるんですよ。「うわあ!未来みたい!」って思って。

三坂:ぽんプラザホールの、今みなさんが座ってらっしゃる客席は、電動で出てくる、ロールバックの客席です。
利用者のみなさんほとんどが、客席を出すときに、特にぽんプラザ初めて使う方が、やりませんでした?舞台の一番前のところに並んで座って、「あ~、出てきた~」って、ビービーってうるさい音をだしながら出てくる客席を見てる方が多いです。

太田:感動するんですよね~

三坂:そう、その姿をみてちょっとキュンとしたりして。

太田:すごいですよね。

榎本:今、半分の状態なんですよね。

三坂:今60席の状態で、他に108席っていうバージョンが。

榎本:ぽんプラザホールを最初に使ったときに、60席の状態で作業をしてたんですよ。
で、最終的には全部客席を出す。っていう状態になってて、で、その出す寸前で、客席で1人台本読んでいるやつがいて、照明さんにすっげえ怒られてましたね。「どけ!邪魔だ!」って。人が乗ったままだと動かないんですよね。

三坂:そうですね。今の状態から108席にしようと思うと、一回客席をしまわないといけないんですよね。機械の都合上。


三坂:小林さんが旗揚げされエスペランサホールは、九州ビジュアルアーツ専門学校のホールですよね。授業でも使ったりするんですか?

小林:僕らがいたのが、今は名前変わってますけど、パフォーミングアーツっていう演劇専攻の学科で、その学科が使うのが、夏公演とか冬公演とかそれくらいしかなかったんですよ。ホール自体も、どっちかっていうと音楽用に作られたんでしょうね。みたいな。

三坂:演劇で使うには使いにくい、みたいな?

小林:関係者がいたらあれですけど、まぁ正直あまり使いやすくは・・・・・・。僕らが旗揚げで使ったときにですね、けっこうステージが広いんですよ。で、奥のほうにイントレが組んであって。

三坂:鉄の足場みたいな。

小林:そうですね。それをバラして使うのか、そこに台を組むのか、というところだったんですけど、僕らがその手間がなかったんですよね、時間的に。イントレがある状態で、その前に舞台を組んで。お客さんから奥の楽器とかスピーカーがあるのとか見えないようにして。舞台裏がごたごたで。

三坂:せまいですね、それじゃあ。

小林:もの置けないし。

三坂:で、劇団の旗揚げで実際に使ったときっていうのは、学生として使ったんですか?

小林:卒業式の次の日が本番だったんで・・・・・・。

三坂:卒業してまっさきに。

小林:天神のアクロスで卒業式をして、感動するひまもなく、仕込みに行きました。

三坂:卒業式当日に仕込で。へ~、大変だな・・・・・・。授業で使うときと、卒業してから使うとき、とかっていうのは、違います?

小林:学校が100%手伝ってはくれなくなるので・・・・・・。

三坂:自分たちの責任でやらなくちゃいけない、と。

小林:当時は、大道具経費が0円だったんですよ。旗揚げ。ある端材から何から全部使って。

太田:0円でなんとかなったんですか?

小林:ええ、優秀な舞台監督が。

太田:テープ関係も。

小林:そうですね。

三坂:全部ありもので。

小林:ありもので。いろんなところからお借りして。

太田:そうですよね。旗揚げした劇団の予算書とか見たら、大道具0円とか。素舞台だから平気でありますもんね。素舞台でもお金がかかるでしょうにね。


三坂:太田さんはぽんプラザで旗揚げですよね。お手伝いで行くときと、自分の劇団として使うときは何か違います?客演やお手伝いで使っている時と、自分の劇団の公演で、劇場来ました!という時と。

太田:違いますね。あまり細かいところをみなくなりましたね。代表になってから。照明のお手伝いとかだったら、「ここが気になる!」とか「ここがこうだ!」とか「この位置はちゃんとしなきゃ」とかいろいろ。

三坂:置く位置とか向きとか。

太田:劇団の代表になって、公演の規模が大きくなればなるほど、人におまかせする部分が増えていったので。

三坂:方向性だけ決めて、スタッフさんに細かいところはお願いする、みたいな。

太田:旗揚げのときは、舞台監督の人も劇団内にいたので、その人にスタッフパートは全部なげてたんで、私はもう何もわけわかりませんでした。役者と一緒になって、「わ~、すご~い」って言ってた。

三坂:お手伝い先のほうがこまかいこと気になりますか。

太田:お手伝いのほうが、見える分、「あ、この部分フォローできるなあ」って。でも、責任を持っている方がという人も。人によってだと思うので、わからないんですが、私の場合は責任があったらちょっとひいた位置でみないといけないなあと思って・・・・・・。責任がなかったら、責任がある人が楽にできるようにお手伝いしたいなあ、と。

三坂:周りがよく見える分、細かいフォローをする、と。榎本さんはどうですか?

榎本:逆ですね。自分のときは自分が責任者だから、ちゃんとやんなきゃいけないって大変なんですけど、客演行った時はもう何もしてない。気が付いたら出来てたとかそういうことはけっこうありますけどね。もともとスタッフ作業の経験がなかったからというのもあるかもしれないです。今でも、スタッフの方に教えてもらってますね。「ここどうなりますかね」って、今更そんなこと聞くの!って顔されます。

太田:役者だったらそうだと思うんですよ。もし私が役者でかかわっていたら、スタッフのことを見る前に、自分の役に専念するっていう・・・・・・。役者がちまちまスタッフのことをぎりぎりまで手伝ったりしている姿って、私はちょっと・・・・・・。特に外部から来た客演さんとかだと。客演先では何もしてないっていうのはやっぱりそうだと思いますよ。

三坂:舞台をつくるとかじゃなくて、劇場を使うときの気持ちとかっていうのはそんなに変わらない?

榎本:客演で行く時は、自分たちが使ってない場所に行くことが多いんですよね。結局、他の団体さんが使っているところと自分の団体が使っているところと違ったりするんで、それこそ、ぎゃ。さんのとこに行ったときは北九州の若松・・・・・・。

三坂:若松市民会館でやりましたね

榎本:ああいうところとかはやっぱり、土地的にも違いますし。

三坂:そうですね、すごく海のそばで、風がきもちよかったです。

榎本:駅も近くて。僕は熊本でも公演するんですけど、ホールの環境も全然違いますし。旗揚げするにあたって、最初北九州で仕事していたんで、北九州の会館をまわって、話を聞いたんですよ、まず。いくらくらいかかるのか、とか。どうしたら申し込んでホールがとれるのか、とか。その時は全然教えてもらう先輩とかもいなかったので、自分でとにかくホールに聞いて、というのをやって。で、民間のところと市がやってるところで、だいぶ違うんですよね。民間の方って結構丁寧に説明してくれるんですよ。「こうしたらいいですよ。」って、書類とかもだしてくれて、見本とかもあるんですよ。でも市のところは、はいぽんぽんぽんって説明されて、「はい、やってください」って。いやいや、もう一度説明してもらっていいですか。っていう感じ。やっぱり、わかっているって前提でされたりとか、やってるからにはそうやって知ってなきゃいけないっていう視線を、教えられましたね。

三坂:なるほど、その公共のところで。

榎本:そうそう。わからないんだったらきちんと調べておいで。っていうことだと思うんですけど。そういうところを学びましたね。だから、知ってなきゃいけないっていう、自分のところでやるんだったらわかってなきゃいけないっていって、やってるんですけどね。いつまでも不手際が多くて、しかられてます。

三坂:私は、実は劇団ぎゃ。という劇団に所属していて。あまり同じ劇場をいっぱい使わないんですよね。公演にあわせて、ここでやりたい、みたいなのをやったりするんですけど、ふだん公演をする劇場とかを、「ここでやりたいな~」って思うきっかけとかって?「ここでやりたい!ぜひ!」と思ったこととかはありますか?

榎本:アクロス円形ホールはそうでしたね。

三坂:下見に行ったときとかに?

榎本:下見に行ったこともありますけど。旗揚げをシアターポケットでやって、次にどこか、という時に、ちょうどぽんプラザホールができるかできないかくらいのころだったんですよね。で、「アクロス円形ホールでやる」って言ったときに、周りの人たちから「いきなりアクロス円形ホールはないだろ~」って言われたことがあったんですよね。僕にはその感覚がわからなかったんですけど。なぜアクロス円形ホールは「お前らにはまだ早い」のかがわからなくて。お金出して借りるのに早いといわれる意味がわからなかった。今だったらわかる。

三坂:どんな?

榎本:「そんなにお客さんも入らんやろうし、大変な苦労もあるのに、お前たちの技術では使えないだろう」っていうところだと思うんですよね。実際、旗揚げ2回目と2年前にも使ったんですよ。旗揚げ2回目のときに使った状況と2年前の使った状況って、やっぱり勝手もわかっているのとわかってないのと全然違うし、特に会場が円形なんでお客さんの座る位置とか、見切れの位置とか。(旗揚げ2回目のときは)見切れって言う言葉すら知らなかったですからね。

三坂:あっちのお客さんから幕の中が見えてる、とか。

榎本:そういうところもわからないままやってたので、「自分たちの技術とホールがあってない、というような感覚が、あるんだな~」って。ただ僕らの世代は、恵まれている方だと思うんですよね。さっき言ってたシアターポケットみたいなところとか、自分たちで場所も作っていくんだ!っていう人たちががんばって、今の状態があって。僕らはホールがあるところに行って使えるっていう状態があると思うんですよね。だからそういう意味では、もっと努力をしていかないといけないところがあるんじゃないかな、と。いろんなホールに行って違いとかを考えた時に思う時がありますね。

太田:お客さんが来やすくて、自分が1回目使ったときはできなかったところを2回目やりたいって思いの方が強いかな~って私は思いますね。空間に対する愛情っていうのはすてきなことだな~って思って、あこがれるんですよね。いい感じのカフェ見つけたり、バー見つけたりするんですね。で、劇団員と「あ、ここでやりたいね~」とか言うんですけど、実現しないんですよね、毎回。冒険ができない人なんですよね。予算書を書いた段階で、「あ、無理だな」って思ったらチケット売ればいいやとかはなかなか思えずに・・・・・・。あとはスタッフ力とか。スタッフを劇団で持っている分、新しいスタッフでどのくらいのことができるだろう、とか規模を大きくしたいけど、どうなってしまうんだろう・・・・・・とか思ってしまうと、どうしてもまた踏み切れなくなってしまう。あとは小さい規模だったら、1人芝居をやってみたいな、とか、カフェでやったら素敵だろうなとかとは思いますね。役者とスタッフと、めぐりあわせがあれば。いつでもどうぞという気持ちはあります。

三坂:自分たちのスペックにあった劇場を使いたい、と。

太田:そうですね。どっちも素敵ですよね。同じ劇場で成長していくのもだし、新しい空間でこの作品がつくりたいというのも素敵なことだし。どっちも大事にしないとな~って。

三坂:小林さんはどうですか?同じところで何回も積み重ねていきたい派ですか?

小林:同じところの方が、前に気付いた部分をなおせるというのがあるし、使い慣れるという部分があると思います。

三坂:どこに何がなおしてあるかわかってきたりしますよね。

小林:僕が台本も書くので、予算があったりとか、ホールが半年前に押さえないといけないとかあるんですね。それで押さえられなかった時にちょっと小さいところでやるとかになると、ホールにあわせた作品・演出っていうのをするんですけど、そういうのは結構好きですね。環境に合わせて演出を変えるっていう。

三坂:たしかに。同じ場所を何度も使うってすると、初めて使う時はどこがどうなるか、使わないとわからないところもあって。

太田:ゲネのあとに公演中止しないといけないって追い詰められたりとか。

榎本:どこの劇団のときですか(笑)。

三坂:何が起こったんですか?

太田:ゲネにならなかったんですよね。ゲネ中に役者の立ち位置もわからなかったし、間に合ってなかったんですけど。スタッフワークも内輪では間に合わなかったり、外に頼んでプロにやってもらっていた分は大丈夫だったんですけど、自分たちでやっていた分は・・・・・・。

三坂:仕込みの時間が間に合わなかった?

太田:そうですね。いろいろ危ない装置を作ってしまったりとか。

榎本:どんなんですか?

太田:役者が高い所から足を踏み外しそうになったりとか・・・・・・。危ないんですよね、やっぱり。役者に優しくない舞台図になってしまってて、ゲネにならなかったり。それでゲネが終わった後にみんながすごく暗い顔をしているんですよね。で、「やばい、だめだ。終わった」とか言って。私も「お金を返したらいったいどれくらいになるんだろう・・・」と。でも当日券でもうお客さんはならんでるんですよね。びゃ~っと。で、これはどっちがいいだろう、このまま期待して待ってるお客さんが・・・・・・、と。ま、ちょっと脱線しましたね。まあそんな風に初めての劇場っていうリスクというのは、私がアマチュアな分、でてきてしまうな~って。

榎本:うちの劇団(劇団えのき岳遊劇隊)で再演して、同じ場所で同じお芝居を5年後くらいに上演したんですよ。「いずみの能力RRR」もそうでしたし、「黒い羽の天使~THE DEAD of BLACK~」も両方同じところでやってるんです。それと、熊本でやった作品を1ヶ月おきでやったっていうか。

三坂:熊本は、熊本市男女共同参画センターという会場で。

榎本:ぽんプラザホールでやったものを熊本市男女共同参画センターでやったり。熊本市男女共同参画センターは会場が円形だったんですよ。で、熊本市男女共同参画センターとぽんプラザでの公演で、舞台装置は同じもので作ってやらないといけないっていう風になると、やっぱり無理があるところもでてくるんですよね。で、違う時はやはり大幅に変更しないとできなかったりしてたんですけど。で、同じ場所で再演でって上演したときに同じ舞台装置でよかったかと言うと、やっぱり違ってたんですよね。舞台装置にもやっぱり前回こうだったから今回こうしようとか、ホールにあわせた、ここはたとえばこう音が聞こえるからこんなふうにしようとか。時期もあるんでしょうけど、同じところで同じ作品をやるっていうのは、かなり僕の中では貴重な体験だったんですよね。だからそれを逆に1ヶ月とかロングランでされているところもありますよね。ああいうとこだと、ずっとやってるからこそ工夫されてマイナーチェンジされていくっていうのもあると思うんですけど。やはり5年とか時を経ているので、こっちもそれ以上のものをしなきゃいけないし、そういう風にみえるような使い方をしようというのを意識したりはしますね。


三坂:いままで、旗揚げで初めて使った劇場とかの話をしてたんですけど。今、地元の劇団の公演が行われている劇場って、ぽんプラザホールとか最近少ないけどあじびホールとかアクロス円形ホールとか大博多ホールとか、地元は少ないけど西鉄ホールとか、いろいろあるんですけど。ここの劇場はうちが初めて演劇で使いました!っていう劇場はありますか?

榎本:うちはありますね。さざんぴあ博多っていう、雑餉隈にあるんですけど、西鉄駅とJRとどちらも近くて。筑紫通りにあるところなんですけど、そこでやって。どうもうちが初めて演劇で使ったらしいです。

三坂:さざんぴあ博多の中のホール?

榎本:ホールですね。大ホールなんですけど300人くらい入ります。ぽんプラザホールみたいに客席がでてきて。開館して1年以内くらいにうちが使ったらしいんですよね。公演が近くなって空いているところ探したらここがあったっていう理由でとってたんですけど。だからその前まではバレエの発表会とか、演歌のコンクールみたいなので使われてたらしいです。緞帳も下がるんですよね。で、公演の時にそれを使ってギミックとしてやってみたりとか。

三坂:本番中に?

榎本:本番中に緞帳を上げ下げして。ただ、今はあんまり使われてないんですよね。僕らが使った後、2年間くらいは結構いろんな団体が公演していたような記憶があるんですが。

三坂:なんか使えるところあるぞ、みたいな感じで。

榎本:そう。でもその後全然聞かなくなって。さざんぴあ博多は駐車場無料なんですよ。お客さんも。で、搬入もエレベーターでかいし楽屋も3つくらいあって、すごくいいんです。すっごくいい場所なんです。でもうちも使ってなくて、なんでだろうな~って。場所もそんな悪くないんですよ。

三坂:何駅の近くでしたっけ?

榎本:雑餉隈。雑餉隈っていうイメージなのかな~。

三坂:私、あんまり西鉄沿線を使わないんですけど、ちょっと遠いくらいの気持ちになりますよね。

榎本:博多区なんですけどね。

三坂:なるほど・・・・・・。

榎本:なかなか微妙な感じなんですよね。なぜかっていったら、使ってないから忘れられてるのかな~。っていう気がしなくもない。逆にぽんプラザホールなんかは、今とれないじゃないですか。

三坂:そうなんですね~。

榎本:空きを取りにいって、取れてたっていうことができてた。5年くらい前は。今はもう無理ですもんね。

三坂:できた当初は、あんまり演劇公演で使われてなくて、2~3年してから演劇で使われ始めるようになって、どんどんみなさんが申請してくださるので、空き日申請でとるのが今はもうむずかしいな、という・・・・・・。

榎本:お客さまの呼びやすさとか、知名度だけじゃなくて、使っている人がたくさんいて。それか・・・(さざんぴあが使われてないのは)今は使わせてもらえないのかも。聞いてないのでわからないですけど。演劇公演がだめになっているのかも。過去、演劇公演がだめになった劇場がいくつかあるって聞いたこともあるんで・・・。詳しくは知らないんですけど。うわさには。そういうところも、もしかしたら僕らが忘れてて気が付いていなくて、ここの劇場があるんだよ、というところはいっぱいあるのかもしれないですね。

三坂:劇場を選ぶ時とかって、どんな感じで選んだりしていますか?人に聞いたりとかですか?私は一時期、福岡市の「たいたいBook」っていうホールとかの情報が載ってる劇場に、かたっぱしから電話して空き状況を聞いたりとかしてたことがあって。

太田:電話帳とかネットとか・・・・・・。

榎本:まあネットとかで調べたりとかですね。それこそ最初の方は自分たちで足でまわってたんで、ホールってつくところを1ヶ所ずつまわってましたね。

太田:ライブハウスとかでも、「あ、いいな」と思ったらとびこんで、ものすごく高くてがっかりするっていう。

三坂:高いですよね~、ライブハウス。

榎本:歌の人たちはけっこういい感じでチケット売ってくれますもんね。2~3千円で当たり前みたいな。

三坂:小林さんはエスペランサホールとぽんプラザホール以外で使われた劇場は?

小林:箱崎のテアトルはこざきとか、一番最近は大野城まどかぴあですね。博多とか天神とかを出るのが、僕らはそこが初めてだったので。

三坂:あ~、天神・博多周辺以外の劇場でやるのは。

小林:なんとなくその辺で活動していると、お客さんもそのあたりにかたまるじゃないですか。そこを大野城というところに出向いて、どう変化があるかなと思ったんですけど、意外とそうでもないのかって。

三坂:意外と近いんですよ。大野城。西鉄の急行で7分くらいで行けちゃう。

太田:どこに住んでたかにもよる。私は大野城に、練習場もあるので、通ってたりして、公演もしたことがあるんですよね。私が大道具やってて。で、先ほど出てきた今泉会館っていう畳のところの。そこの大道具を大野城まどかぴあに持っていって、やったんですけど。とてもきつかった思い出が。

三坂:遠かったですか?

太田:遠い!っていう印象が。トラックとかで運んで。

三坂:今泉会館があった場所は?

太田:警固ですかね、今泉・・・ですかね。

三坂:赤坂らへんから、大野城まで、車で。車で行くと、ちょっと遠いですね。

太田:ちょっと遠いです。

小林:電車は近いですよね。

太田:電車はね。お客さんからみたら、そんなにかわらないのかな~って。福岡のお客さんから見たら。

榎本:宗像ユリックスとか。

三坂:宗像はすごく遠いイメージが・・・・・・。

榎本:距離でいったら、大野城くらいなのかな・・・・・。

三坂:まどかぴあは、天神とか博多周辺以外の劇場では、搬出とかはどうでした?大変でした?

小林:あ~、やっぱりさっき言ったけど車が・・・・・・道が分からないですよね。

三坂:初めていくところだから。

小林:西鉄だったら、乗るだけなんでわかるんですけど。車だと、どこかから曲がるんですよね。博多側から行くと、駐車場の入り口が見えずらかったりとか。僕、福岡出身じゃないんですよ。山口出身。こっちにきて初めて演劇というものに携わって、「あの劇場へ行こう」ってなったとき、だいたい地下鉄で説明されません?祇園駅からすぐのぽんプラザホール、とか。西鉄って言うのが僕の中にあまりイメージがなくて。

榎本:僕はJRのイメージが強い。JRは使うんですよ。でも西鉄は使ってないから、西鉄で時間言われてもわかんなくて。竹下駅どこ?って聞いたら、竹下駅はないって言われて。

三坂:大野城まどかぴあを使ってみた感じはどうでした?中は。違いました?ぽんプラザホールとかと。大野城まどかぴあの小ホールですよね。ぽんプラザは平台が一段置いてあって、劇団の方が高さを出したり、低いまま使ったりされてるんですけど、大野城まどかぴあは、客席にベンチみたいなのが並んでて、ちょっとだけ舞台面が高くなってる状態の場所なんですよね。使ってみた感想とかを。

小林:使う側の意見なんでしょうけど、一番うれしかったのは、すぐ横に楽屋があるんですよね。袖と楽屋が近い。そこに鏡があって。

太田:あれは楽でしたね~。

小林:メイクなおしとか早い早い。

太田:人数が多いお芝居の時は、楽でしたね。

小林:ぽんプラザホールでやったときは15人くらいのキャストでやらせていただいたんですけど、ま~、動けない。裏が。

三坂:ぽんプラザホールは、劇場が4階で、3階が楽屋なんですよね。階段をダダダダダーって下りないと楽屋にいけないんですよね。

榎本:たまに、階段から音しますもんね。効果音ではなくて。

太田:がたがたがた~って(笑)

榎本:西鉄ホールは、楽屋は舞台裏でしたっけ?

太田:裏、ですね。VIPルームみたいな楽屋と・・・・・・。

三坂:ソファーが置いてあって、シャワーがついてる楽屋と、もう一つフラットな感じで間仕切りを自由にできて壁一面に鏡と、鏡の前にドレッサー?

太田:大部屋みたいな感じで

榎本:アクロス円形ホールもそうですもんね。楽屋、裏側ですもんね。ただ、アクロス円形ホールは客席の真ん中に、柱が2本立ってるので、視覚的にむずかしかったり・・・・・・。調光室から舞台が見にくいから、前側に作らないといけなかったり、いろいろありますもんね。楽屋大事ですよね。ぽんプラザホールは畳ですよね。

三坂:はい、3階に畳の楽屋が1つと、ビニル床みたいな感じのとこが1つ。

榎本:畳の楽屋もうれしいですよね。

三坂:畳はけっこう、巡回とかでまわったりすると、もう1つの部屋のほうには誰もいないのに、畳の部屋に10人くらいひしめきあって寝てたりして。どうです?使う時は畳の部屋にいることが多いです?

榎本:畳のほうは、鏡と服かけるハンガーラックがないんですよね。ハンガーラックが、よく畳じゃない方にあるんで、そっちを衣装とか女性陣に占拠してもらって。うちの場合はですね。で、畳のほうは必然的に男性がいる形になるんで、なんかごろっとしてますね。

三坂:太田さんはぽんプラザホール使うときは?楽屋の配分はどうですか?

太田:私は楽屋にいないんでわかんないんですよね。居心地悪いので、だいたい受付にしか居場所がないんですよ、私は。

榎本:嫌われてるんじゃないですよね(笑)。

太田:わかんないですけど(笑)。役者陣は役者陣で空気が出来上がっちゃってるので・・・・・・。

三坂:受付前が楽屋、みたいな。

榎本:うちがここでやったとき、太田さんに出てもらったじゃないですか。あのときはどこにいらっしゃったんですか?

太田:あのときは受付のところに・・・・・・。

榎本:楽屋にいないじゃないですか(笑)!

三坂:太田さんの楽屋は、受付前なんですね。

榎本:楽屋が嫌いなんだ。

太田:なんか、ここは私がいちゃいけないんだ!みたいに思ってしまうんです。なんでかわかんないんですけど。

三坂:Do-リンク場の公演はどうなんですか?

小林:僕ら、最初のうちは男が洋室のほうだったんですけど、さっき榎本さんも言ってらしたんですけど、鏡が多いでしょ、洋室。徐々に女性陣がそっちに。「メイクするでしょ、私たち!」という感じで・・・・・・。「男は畳に行きなさい!」って。徐々に畳においやられました(笑)。

榎本:姿見まで奪われてね(笑)。

三坂:姿見が2個あるんですけどね。だいたい、畳の部屋に1個と、鏡がいっぱいある部屋に1個あって。

榎本:両方向こうに持っていかれて。何もない状態。ひげだけそって。

三坂:なるほど。私の印象としては、畳の人たちが、畳を占拠して、畳の部屋に入れない人が洋室にいるんだと思ってました。逆だったんですね。鏡をとりあってたんですね。

榎本:鏡のとりあいだったんです。

太田:小林さんは、ここの劇場が好き、みたいなのってあるんですか?

小林:ぽんプラザホールで公演したのが、学校以外で公演したのが初めてだったので、勉強させられたのが、ここが一番多いんですよ。むやみに壁にもの立てかけないとか。

三坂:あ~、そうですね。パネルとかをそのまんま壁に立てかけたりすると、壁に傷がついたりするから、気をつけましょうねって言われるんですよね。

小林:勉強になったのが多いですね。ぽんプラザホールは。

太田:そうですよね~。大きい劇場だと、スタッフ面はプロに任せるってことになりますもんね。

榎本:使ってみたい劇場は?

小林:大きいところではやってみたいですよね。それこそ天神駅の上にある・・・・・・。

三坂:西鉄ホール。

太田:NTT夢天神ホールもある。

榎本:ベスト電器のホールもありますね、イムズも。

小林:天神地域に出てみたいですよね。1回客演に出させていただいたときにスカラエスパシオを使わせていただいて。

太田:800ぐらいのキャパ。

小林:そう、結構多いんですよね。あそこ。そこの舞台がせりあがり式だったので。

榎本:僕は、天神でやるとお客さんがふらっと寄ってきたとか。待ち合わせの時間までちょっとあったんで入ってみました。なんていうのがアンケートで見ることが結構あるんですよね。ぽんプラザホールはちょっと前までは、「ぽんプラザ?あ~、シティ劇場?」って言われるくらいな、ちょっとお客さんに説明するのがあれだったり、ふらっと来た人はなかなかいなかったんですよ。最近はけっこういらっしゃいますね。でも天神の方が多いですね、そういう、ふらっといらっしゃるお客さんは。旅行の人とかが、偶然来たとか。そういう意味では、わからない当日のお客さんというのを見込むなら、天神のほうがいいのかもしれないですね。

三坂:ぽんプラザホールは、そこまでふらっといらっしゃる方はいないんですね。

榎本:うちの劇団に来る人は、そこまで。比べたら、天神のほうが多いですね。

三坂:太田さんは天神の西鉄ホールと、こっちはぽんプラザホールで。やっぱり違いますか?

榎本:西鉄メインでやっているの?

太田:まだメインというほど・・・・・・。

榎本:ま、そんなイメージがあるくらい活動的だなって。

太田:どこかっていうのは特に決まってないんですけど、当日券に関しては、なかなか分析できない部分ではあるんですよね。確かに、西鉄ホールの一番最初の公演から、当日券が増えたんですよ。結構増えたんですけど、だからそれがつながっているかといえば、ぽんプラザホールに戻してみないとわからないところがあるなあって。チラシとか日程とか運とか、呼び込みしたとか。前に西鉄ホールで公演したときに呼び込みしたんですよ。派手な衣装だったんで、衣装着て役者が呼び込みを。で役者がへこみながら帰ってきて、交代でローテーションしながら。なんかそれで来たのかなって。でもわかんないですよね。どういう理由で来たのかは。1~2人はそれで当日券来たって言う人がいるでしょうし。


榎本:自分たちで劇場を持つなら、どこがいい、とかってあります?

三坂:立地ですか。

榎本:僕らまだそんなあほなこと言ってていいと思うんですよ。1階に居酒屋入れて後ろ側が駐車場になってて、上がホール。で、終わったらそのまま居酒屋で打ち上げみたいな。で、ふだんはそこの居酒屋経営してますって。

太田:いいですよね~。

榎本:そういうの作りたいなって、旗揚げしてすぐ思ってたんですけどね。でも、どの辺でいいかとか場所とかは。

太田:私ね、箱崎が大好きなんですよ。最近自然食のお店とかあって。自然食・カレーが好きで。おいしいインドカレーの店があって。どうでもいいんですけど、あとは手作りの雑貨のお店とか、アーティスティックなものが。音楽やってる人の店とか。あとは、もともとイメージで、箱崎にすんでて、小さいときに月光シアターの前を通りかかってたんですよね。

榎本:踏切のところに

太田:そう、踏切のところに月光シアターっていう劇場がありまして。こういう劇場を、なんか近寄っちゃいけない!みたいな、見世物小屋みたいな、。母親に、箱崎宮っていう参道があるんですけど、そこを演奏しながら歩くんですよ、衣装着て。でも「見ちゃいけません!」って言われるんですよ、母から。でも私は気になって気になって。「なんだろう、これ、なんだろう!」って。母はテアトルハカタの会員にはいってて、「興味があるならこっちを見に行きなさい」と。
そっちもすごくおもしろかったんですけど。で、大人になってというか大学生になって、演劇部にちょっと遊びに行ってたときに観に行こうって月光シアターに観に行った時にすごく印象に残ったんですね。いろんな地元の人が来たり、ひしめきあって、せまいなかで見るんですよ、芝居を。暑いのに目が話せない。「少年Z」っていう芝居をやってて、「しょうね~ん、ゼット!」ってやってるんですよね。

榎本:覚えてるんですね。

太田:覚えてますね。観たくてたまらなかったんで。

三坂:お芝居を始めた、原体験がここにある。みたいな。

太田:そうですね。でも一番、その後に劇団に入った・・・・・・勉強させてもらった、ばぁくうにいったんですよね。そのときは平尾に・・・脱線していいですか?

榎本:じゃあ、太田さんは福銀の跡地に劇場を建てたいって事で(笑)。

三坂:小林さんはどうですか?劇場ほしいとか思いますか?

小林:僕が、もともと、ずっと調理をしてたんですよ。父親が板前だったんで。だから、芝居始めた頃からマンションを持ちたくて。
一同:え~!

小林:まぁ最後までききんさい。1階にちょっとステージがあって、昼は喫茶店をしているバーがほしいんですよ。で、2階にワンフロア広い稽古場がほしいんです。で、3階以上が、これから役者やろうって子達が住めるとこにしたいんですよ。

三坂:次世代のための。

小林:まあ、今僕らがその世代なんですけど。

榎本:みんな家賃滞納してね(笑)。

三坂:なかなか家賃入ってこないな~。

榎本:おかしいな~。ってね。

小林:ま、そういう人たちは喫茶店で働いてもらって。

榎本:「そこに家賃入れたら帰っていい」と(笑)。

三坂:でも、そうですよね。劇場を作るってなると、自分たちが使うだけだと、いっても年に2~3回じゃないですか。

榎本:その間は貸したり

三坂:そう、貸したり。のときに若い劇団の人たちとかが借りて公演する時に「君たち、がんばれ!」的なことにしたいってことですか?

榎本:ミュージシャンの人が自分でスタジオ作ったみたいな、ね。僕も、貸し屋台とかって作れたらなって。そんな金ないんですけど。

三坂:アトリエ戯座、演戯集団ばぁくうさんの劇場とか、シアターポケットとかで使って勉強してきた分、これからの人たちにも勉強させてあげたい。みたいな?

太田:一番は、劇場にかける佐藤さん(演戯集団ばぁくう)の想いというか、多分この後のトークでいろいろあると思うんですけど、いつも、すごく厳しいんですよね。なぜ厳しいかというと、この空間をお客さんと過ごせることへの感謝っていうのが、いつもあるんじゃないかな~と。で、パンフレットにも、いつもそういうことを書かれてあったと思うんです。劇空間をすごくこだわってつくられるんですね。客席とか、お客さんの見送りから舞台美術から。空間に対するこだわりって言うのがすごくあるなあ、と。それを見て、私自身も。今は色々雑だったり時間がなくて80%でいいだろうとか、これくらいやったら次はこっちとか、こだわりきれない部分があるんですけど、徹底的にこだわった空間作りっていうのは、すごくあこがれますね。劇場に対してもそうですね、それは。

三坂:借りてつくる劇場でもそういうこだわりを持って作っていきたいですね。

太田:私は今、自分のスタンスって言うのは考えているんですけど、どうしても自分でお金を払ってやっているって言うのもあるかもしれないんですけど。すごく不条理なことをやっていると思うんですよ。お金には、今、なってないし。だからこそ、なんでやろうかっていう部分で、お芝居を、空間をお客さんと共有したいんだって。その気持ちだけは大事にしたいなあと。まぁ、違うんですけどね。たぶん。プロでやってるスタンスとは。

榎本:でもそういうところが作れたらいいですよね。客席と舞台があるじゃないですか。でもその空間という言い方をすると、シアターポケットもそうだし、ぽんプラザホールもそうですけど、近い分、全体を包んでいる感じがあって。たとえばぽんプラザホールでも壁とかを全部装飾できれば、イメージが全部、空間を支配できたとか。そんな風に使い方ができることがあれば、よりまた一体感がうまれる、と。

太田:そうなんですよね~。どっかにつれてってもらえるような劇場にいたい、そして、したいんですよ。私自身が見たいのも、そうだな~と。額縁があって、その向こうで展開されているのではなく、同じ空間の中で生きていたいなあと。そういうスタンスはありますね。ずっと。


三坂:そろそろお時間になってまいりました。最後に、パネリストのみなさんに拍手をお願いします。今日はありがとうございました。